大人の舌をも虜にする「マック&チーズ」
「マック&チーズ(マカロニ&チーズ)」というと、「子どもが食べるもの」というイメージだ。アメリカ人の子どもたちはたいがい「マック&チーズ」が好きで、スーパーマーケットにも即席でつくれる「マック&チーズ」が多く売られている。だから、外食するときに「マック&チーズ」を頼んだことがない。大人がわざわざ食べるものではないと思っているからだ。
しかし、NYフラットアイアン地区にある『ビーチャーズ・ハンドメイドチーズ』の「マック&チーズ」(写真上)を初めて食べたとき、今まで食べたことがなかったことを後悔したくらい絶品だった! 店が「世界で一番」と自ら命名しているだけのことはある。とろりととろけた濃厚なチーズがマカロニに絶妙にからみあい、大人が食べても十分満足できるレベル。一度食べたらまた食べたくなるやみつきのおいしさなのだ。
『ビーチャーズ・ハンドメイドチーズ』は、2003年にシアトルで創業した。創業者のカート・ビーチャー・ダムマイヤー氏は、小さい時からチーズ好き。大量生産のプロセスチーズが市場に急速に浸透しつつあったころ、あえてアルチザンチーズを買ってほしいと母親に言う子どもだったという。
『ビーチャーズ・ハンドメイドチーズ』は伝統的な製法でつくり、添加物や着色料の類いは一切使わない。ニューヨーク店は2011年にオープンしたが、地元で手配できる牛乳を使うことをポリシーとしているので、シアトルとニューヨークでそれぞれ違う地元の牛乳を使っている。ニューヨーク店にはニューヨーク州の州都であるオルバニーの近くの牧場から午前2時に牛乳が届けられ、そこからチーズが作られている。
ワインと楽しむもよし、買って帰るのもよし
ニューヨーク店は1階にセルフサービス式のカフェ、チーズ売り場、バーがあり、座席は2階にもある。レストランは地下にある。カフェでもレストランでも、一番の売れ筋はやっぱり「world’s best」と名付けられた「マック&チーズ」だ。
チーズ売り場で一番の売れ筋は「フラッグシップ」(写真上)。「world’s best」はフラッグシップと「ジャストジャック」と名付けられたチーズを7対1の割合で混ぜてつくっている。
「フラッグシップ」は、チーズカード(凝固した乳)をつくってから15カ月たったチーズだ。濃厚だが、比較的くせが少ない。フラッグシップは『クローガー』『ホールフーズ』『スターバックス』『ジェットブルー航空』などにも卸売りされている。カナダとフランスには輸出していて、来年は香港、メキシコ、中東にも輸出し始める予定だ。
チーズ売り場で2番目に売れているのが、4年ものの「フラッグシップ」(写真上)、3番目に人気があるのが「チーズカード」だ。地元の他のメーカーのチーズも販売している。
1階中央にはガラス張りの生産施設があり、その巨大なバスタブのような桶でつくっているのが「チーズカード」だ。2階からも施設を見下ろすことができる。
薄暗い地下のレストランはちょっぴりロマンチック
地下のレストラン『ザ・セラー』は、薄暗くてムーディー。外界から遮断された、ちょっぴりロマンチックな隠れ家的空間だ。
「マック&チーズ」の次に人気があるのは「ミートボール」(写真上)。大きくて柔らかいミートボールが2つ出てきて、ワインのお供にちょうどいい。
3つめに人気があるのは、アーティチョークと赤ピーマンに似たゴートホーンペッパーがのった「リコッタトースト」(写真上)。リコッタチーズで、見た目もきれいだ。ローストチキンやムール貝も人気がある。
レストランの一角には、約1年の間に熟成によってチーズがどう変わるかを示すディスプレイがある。バターでコーティングしてチーズクロスで包んだ大きなチーズの塊を、1カ月半ごとに置き換えている。
日本には規制などの関係で現時点では輸出の予定がないが、最近日本からチーズ業界のグループが視察に来たそうだ。『ビーチャーズ・ハンドメイドチーズ』が2005年以来、今まで50近い賞を受けていることを考えたら、日本のチーズ業界が興味をもっても不思議はないだろう。
【メニュー】
「world’s best」マック&チーズ $12.00
ミートボール $19.00
リコッタトースト $12.00
Beecher’s Handmade Cheese(ビーチャーズ・ハンドメイドチーズ)
- 電話番号
- 212-466-3340
- 営業時間
- 1階カフェと店: 11:00~16:30(テイクアウトのみ20:00まで) カフェダイニングは17:00~23:00 チーズカウンターは11:00~21:00 ザ・セラー: ランチ月曜~金曜 12:00~15:00 ブランチ土日11:00~15:00 ハッピーアワー毎日15:00~19:00 ディナー日曜~水曜17:00~23:00 木曜~土曜17:00~翌0:00
- 定休日
- 無休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。