どこまでも滑らかな「パイ」が絶品すぎる! 名門『モナリザ』出身シェフの新星ビストロは穴場中の穴場

2017年06月28日
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どこまでも滑らかな「パイ」が絶品すぎる! 名門『モナリザ』出身シェフの新星ビストロは穴場中の穴場
Summary
1.ディナータイムは16時から。軽く1杯から楽しめるビストロがオープン
2.正統派フレンチに独自のエッセンスを加えた感動的なビストロ料理
3.調味料に至るまで手作りした、体が疲れない料理が魅力

変貌を遂げる注目エリアに現れたゆったりと過ごせるビストロ

アパレル会社が多くお洒落でハイセンスな注目エリア・神宮前2丁目。この話題のスポットに新しいビストロがオープンした。それが今回紹介する『ビストロ ティロワ』だ。外苑西通り沿いに店を構えるが、現在、このエリアは開発中で、2020年の東京オリンピックを迎える頃には店の目の前は緑豊かな公園になるそうだ。

ベンチシートのテーブルとカウンター、そして真ん中には丸テーブルを配置。

シンプルな内装ではあるがアンティークな真鍮やシャンデリア、食器やカトラリーはセンスが高く、ショーケースに並んだ色鮮やかな野菜やパテ、デザートに加え、オープンキッチンからのおいしそうな音と香りに食欲が掻き立てられる。

料理を作るのは川島大輔シェフ。『レストラン モナリザ 丸の内店』、『レストラン ヒロミチ』で修業し、正統派フランス料理を得意としてきた。

特に当時の『レストラン モナリザ 丸の内店』のシェフであった石井剛さんのひと皿に対するこだわり、何があっても妥協しない、丁寧に作るという姿勢に学ぶところが多かったと言う。そんな川島シェフが今度はオリジナリティあふれるビストロ料理で腕を振るっている。

正統派フレンチにシェフの感性が光るオリジナル料理は感動のひと言!

グランドメニューは約20品、黒板に書かれた本日のメニューは10品ほど。

初めて来店する人にオススメなのが「ブータンノワールのアップルパイ」(写真上)。この形ならパイ生地、ブータンノワール、リンゴがつねに一緒に味わえる。

実は、スーシェフを務めた『レストラン ヒロミチ』のスペシャリテが「ブータンノワール」で、いつか自身のスペシャリテにしたいと考えていたそうだ。

どこまでもなめらかでありながら背脂の食感もあり感動的。マデラ酒とバルサミコを煮詰めたソースも絶品。まさに川島シェフの代表作といえよう。

続いて、目にも鮮やかな皿は「カワハギと春野菜 マスタード風味」(写真上)。カワハギでキュウリを巻き、マスタードとヴィネグレットで酸味のあるさっぱりとした味に仕立てている。

さらに黒オリーブで作るタプナードソースと新鮮な旬の野菜で変化をもたらし決して飽きさせない。「ビストロ料理は野菜や魚介が少ないので、逆に産地直送の新鮮な食材を取り入れたい」と野菜は使う分だけを自ら農家に足を運んで仕入れている。確かに甘いもの、えぐみのあるものなど自然の味をしっかりと感じることができる。

カワハギはフランス料理で使うことはほとんどないので、完全にシェフのオリジナル料理。ホッとする心地良さは、どこか「和」を感じさせるからだろう。

シェフがフランス料理を始めた頃、地方料理を食べ歩く中で出逢ったのが「シュークルート」(写真上)だった。そのおいしさを伝えたいと『レストランモナリザ』で賄いを作ったところ当時の石井シェフにほめられて以来、この料理が好きになったという。

とろっとろの塩豚、ハーブとカレーの香りがするソーセージ、酸味の加減が完璧なザワークラウトとすべてが手作りで体に悪いものは一切ない。どれも体の中に溶け込んでいく。

「オーストラリア産骨付き仔羊のロースト 瞬間燻製」(写真上)はふたを開けるとフワ〜っと湯気がたち込める。どんなにお腹がいっぱいでも食欲がわく香りの演出だ。

ストウブの中には藁の上に鎮座するこんがり焼かれた仔羊。オーストラリア産は羊とはこういう味なのだと教えてくれる。

オーブンに入れる、休ませる……を何度も繰り返してやわらかく仕上げている。ハーブで香りづけした羊のジュで作ったソースとトマトペーストが羊独特の味をエレガントに昇華させる。

工程をひとつでもおろそかにすると仕上がりが全然違ってしまうパテ・ド・カンパーニュが一番好きという川島シェフ(写真上)。だからなのかすべての料理の核となるのはクラシックなフランス料理だ。そこにちょっとした驚きや楽しさを加えた川島シェフにしか作ることのできない皿に魅了され、ツウな人が集まってくるのだ。

ワインはマネージャー兼ソムリエの大谷欣也さん(写真上)がセレクト。都内の人気ビストロ店で活躍した実績からフランスを中心に料理を邪魔しない、しかも好みのものが見つかるようにグランヴァンからテーブルワインまで味も価格も幅広く取り揃えている。

グラスワインは季節と料理に合わせて泡、白、赤それぞれ3〜4種類を抜栓している。ワインを選ぶポイントは「ブドウの品種から味が外れないこと」。つまりシャルドネならシャルドネらしい味がするかどうか。その根拠はワインの個性を覚えてもらえるからなのだそう。

ベーシックなものをおいしく味わえる、これは川島シェフの料理にも通ずることだ。いつまでも通い続けたいと心から思う。

(撮影/八木竜馬)

【メニュー】
ブータンノワールのアップルパイ 1,200円
カワハギと春野菜 マスタード風味 1,400円
シュークルート 2,600円
オーストラリア産骨付き仔羊のロースト 瞬間燻製 2,800円(2人分)
ワイン(ボトル) 3,500円〜、(グラス)700〜800円
※価格は税抜き

ビストロ ティロワ

住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-13-1
電話番号
03-6804-1269
営業時間
火~金 16:00〜22:30(L.O.)、土日祝 12:00〜14:00(L.O.)/17:30〜22:30(L.O.)
定休日
月曜
公式サイト
https://www.facebook.com/bistrotiroir/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。