紅茶にもコーヒーにもない日本茶の奥行きを京都で知る。
今年の冬は、京都といえどかなり温かい日々が続いている。街歩きもあまり苦にならないぐらいだ。
先斗町に「茶香房 長竹」というお茶の専門店がある。久しぶりに昼食を摂ることにした。
「うちは13時からの営業で、昼のご飯は15時まで注文できます」と主の長竹俊三さん。そして出してくれたのは茶葉が入った茶碗。普通は急須に茶葉を入れ、そこにお湯を注ぐのだが「こうすると茶葉の色合いも楽しめるし、急須も要らないのです」と。確かに茶葉は緑の光沢を放ち、時間の経過とともに葉は開き、透明から緑色にお湯も変化する。
ご飯は茶飯の炒飯にする。茶飯とは茶葉をご飯と一緒に炊いたもの。これをまた炒飯のように炒めるのだ。上には柔らかな玉子焼きが乗っかる。なんともホッとする味わい。そこからお茶に関する会話が始まる。「茶碗に入っている茶葉は最終的にご飯にかけてもいいし、そのまま食べていいんです」「お茶は手間をかける楽しみもありますが、このように楽に飲めておいしいものも。同じお茶でもいろいろな楽しみ方がありますよ」などなど。これまでお茶に対して抱いていた概念が変わるのだ。そんな意味でもここのカウンターで長竹さんと言葉を交わすことをおすすめしたい。
茶香房 長竹
- 電話番号
- 075-213-4608
- 営業時間
- 12:00~23:00
- 定休日
- 定休日はお問い合わせください
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
京名物のくずきりの老舗のカフェへ
その後は、祇園の路地裏で少し休憩だ。くずきりで名高い「鍵善良房」という老舗がある。2012年オープンした「ZEN CAFE + Kagizen Gift Shop」はモダンなセンスを取り入れたショップとお菓子を楽しめるカフェ。ギフトショップで干菓子をみて、隣のカフェに入る。
カウンターに腰を下ろすと小さな中庭が見え、心が落ち着く。メニューから特製くずもちを選ぶ。「くずもちに少し甘みがついていますので、まずはそのままお召し上がりください。それからきな粉や蜜をかけ、お味をお楽しみください」とのこと。くずもちはねっとりと弾力があり、そのままで食べると優しい甘みと香りに魅了される。続いてきな粉と蜜をかけると香ばしさと甘みが膨らみを持つ。これは比類なき味わい。
じつはこのカフェは1階だが、2階には器と皮製品を扱うショップが2店舗ある。どちらも商品がすこぶる素晴らしいので、食後は2階に是非とも足を運んでいただきたい。
ZEN CAFE + Kagizen Gift Shop
- 電話番号
- 075 533-8686
- 営業時間
- Cafe 11:00~18:00(L.O.17:30)、Shop 10:00~18:00
- 定休日
- 定休日 月曜(祝祭日の場合は翌日)
- 公式サイト
- http://www.kagizen.com/
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カツ+カレー+炒飯は?
夜は、御所に近い洋食店「キッチン・ゴン 御所東店」とした。ここは西陣に本店がありピネライスが名物である。ピネライスとは炒飯の上にカツを乗せ、そこにカレーをかけた献立だ。炒飯にカツとカレーが加わることで、食感と味わいがかなり異なってくる。一口毎の味わいが変わるのが面白いのだ。
この日は「数量限定」と記されていた「テキピネライス」とベーコンポテトサラダを注文した。
テキピネライスはガーリック炒飯にフィレステーキが約130グラム乗る。さらっとした炒飯とフィレステーキというシンプルな組み合わせだが、マスタードをプラスすることでコクや旨みが生まれる。最初に供されるコーンスープもほっこりとうれしい。またポテトサラダの大胆なこと。カリッと焼けたベーコンの存在感とポテトサラダのボリューム感に感激である。
そしてここはメニュー数が相当多いので、選ぶときに少々迷ってしまうのだが、どれもたっぷりの分量なのでありがたい。昼夜問わずセットメニューがあるので、いかなる要望にも応えてくれるので推薦の一軒だ。
キッチンゴン 御所東店
- 電話番号
- 075-255-5300
- 営業時間
- 11:00~21:40(閉店22:00)
- 定休日
- 定休日 火曜
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錦糸卵がすべてを隠すちらし寿司
翌日のランチは三条通り新町近くの「すし善」という寿司屋に知人を誘って出向いた。ここではちらし寿司を食べるべし!と仲間からの指令である。僕はちらし寿司、知人は穴子ちらしを頼んだ。カウンター内でご主人と息子さんらしき人物がせっせと注文のちらし寿司を作っている。
カウンターに二つのちらしが並んだ。
外観だけでは、どちらのちらしか判断がつかない。というのは錦糸卵の分量が半端でないぐらいにたっぷりなのだ。具材やご飯がすっぽり隠れ錦糸卵と生姜だけが見えている。
「多い時は、一日100個以上卵を使うこともあります」と。それが納得できるぐらいの金糸卵の分量だ。それをかき分けると中から具材が出てくる。
ちらしはマグロやタコなどが入り、穴子ちらしはどっさりと穴子だけという潔さ。少し甘目の寿司飯もちらし寿司には欠かせない味わい。このちらし寿司はなかなか他では出会わない一品だけに是非とも召し上がっていただきたい。ちなみに出前も相当数こなされているようだ。
すし善
- 電話番号
- 075-221-3848
- 営業時間
- 10:00~21:00、日・祝10:00~20:00
- 定休日
- 定休日 土曜
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京大生も愛する地元の味・中華
夜は京都大学がある百萬遍から少し北に行ったところの『華祥』に向かう。ここのオーナー・田口茂雄さんは中華料理界の大御所。名店やホテルの料理長を歴任の後、学生にリーズナブルな中華料理を食べてもらいたいと京大のそばでカウンターだけの小さな店を開いた。だが、その味わいと価格であっという間に人気店へ。息子さんが手伝うことになり移転し、2階席もある現在の場所になった。
メニューも多彩で迷う。この日は鶏のフライ ネギ生姜風味と春雨と牛肉の辛子入り煮込みをまず食べる。鶏はサクッと軽やかで、そこに生姜風味でアクセントが生まれる。春雨は少しピリッとしたスパイシーさに牛肉と干海老のうま味もプラスされ、食べる速度がどんどん速まる。
メインは担々麺と卵白あんかけ炒飯とした。炒飯は炒飯と卵白のマッチングが素敵な一品。客席の年齢層の広さには驚くばかりである。
今回は、京都に根付いて京都人からずっと愛されている店のラインナップとなった。
※門上武司さんのスペシャルな記事『恥をかきたくない人のためのオトナの京都の遊び方【うつわ編】~何度通っても常連になれない貴方のために~』はこちら
中国料理 華祥
- 電話番号
- 075-723-5185
- 営業時間
- 11:00~14:00、17:30~21:30
- 定休日
- 定休日 水曜
- 公式サイト
- http://www.kasyou.jp/
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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